【小学生・中学生・高校生】各年代に必要な英語学習

各年代の英語学習

英語は日本の教育において、年々重要視されており、学校の授業も度々見直されてきました。近年では、小学生をはじめ、より低い年齢からの英語学習が活発になっていますが、そこには効果の高くない学習が含まれているのも事実です。英語を習得する上で必要な学習とは何でしょうか。元英語教員として、各年代ごとの学習についてまとめてみました。

英語を習得する2つの方法

英語を習得するためには2種類の方法があります。1つは生活の中で自然と習得していく方法。もう1つは学習によって習得する方法です。多くの人が、生活の中で自然と習得したいと考えていると思いますが、残念ながら、日本人のほとんどは学習によって英語を習得していく必要があります。自然に英語を習得するために必要な英語環境は、日本ではなかなか存在しません。英会話が日常になっている家庭か、インターナショナルスクールぐらいでしょう。こういった環境下に置かれると、幼い頃から強制的に英語を使うことになるので、自然と英語が習得できるのです。しかし前者は親の第一言語が英語である必要があり、後者は多額の費用が必要なので、そういった環境に子どもを入れることは、なかなか難しいでしょう。

幼児の英語学習は「音」

小学校に入るまでの英語学習は、「英語を聞く」ことがポイントです。英語の文法や知識を学ぶことはできないので、当然そういった類の学習はできませんが、「音」の学習は幼い方が優れています。周りとコミュニケーションを取るために、音を吸収しようとする幼児の力は、大人には決してない能力です。この頃は楽しみながら学べる、映像の教材が一番良いと思われます。代表的なものが、ディズニー英語システムやミライコイングリッシュです。ディズニー英語システムはお馴染みのキャラクターが出てきますが、結構なお値段です。こういった教材は子どもとの相性もあるので、強くおすすめすることはありませんが、英語の音には間違いなく慣れることができると思います。実際、昔と比べて、英語の音に慣れている子どもが増えてきている印象があります。そういった子は中学生以降、発音やリスニングでアドバンテージが取れるのは間違いないでしょう。

小学生の英語学習は「慣れること?」

小学生になると、日本語がある程度習得できている状態なので、別の言語を自然に習得する力は低下しています。その分、読み・書き能力が徐々についてくるので、そういった学習もすることができます。低学年はアルファベットや簡単な単語の学習、高学年は英文の学習をすることができます。しかし小学校での外国語授業は、「話す」「聞く」ことに重点を置いているのが実情です。こういった授業は、確かに英語に慣れることはできますが、英語の仕組みをよく知らないままで、話したり聞いたりしているだけなので、英語の習得には繋がりにくいと言えます。小学生は、英語の基礎部分を固める学習をするべきだと、個人的には想います。具体的には、「単語を覚え、簡単な文を読み書きできるようにする。」ということです。国語でもそうですよね。漢字を覚えて、簡単な文を読む練習をして、それを1年生から6年生まで続けるから日本語が上達するのです。小学校での英語学習が、「よし、英語に慣れた!」ということだけで終わっているような気がして、少々不安ではあります。

中学生の英語学習は「文法」

中学生では、英語の文法をほとんど全て習います。つまり、3年間で英語のルールをマスターする必要があるのです。近年では小学校の外国語授業が改訂されたことにより、中学校での学習内容がさらに増加しています。しかし、小学校の「英語に慣れる学習」と、中学校の「英語を理解する学習」は大きく異なり、ついていけない子は一気に英語がわからなくなります。私は小学6年生~中学1年生の英語学習が非常に重要であると考えています。この時期に文法の基礎を固めることができれば、その後も英語の学習は問題なく進められるはずです。そのため、できれば中学生になる前から、塾などで先行学習をしたり、簡単な文法教材を使った学習をした方がいいでしょう。尚、小学生用の英語教材は、重要な文法事項が曖昧に書かれていたりするのであまりおすすめしません。「中1英語をひとつひとつわかりやすく。」など、とにかく簡単な中学英語の教材がおすすめです。

高校生の英語学習は「暗記」

高校生の英語学習は、とにかく頭に英語をたくさん詰め込むことが求められます。基本的なことは中学で学習済なので、あとは発展的な文法や、様々な単語や表現をおぼえていくことになります。学生の大きな目標でもある大学受験では、単語や表現を十分暗記できていないと勝負になりません。大切なのは、高校1年生から地道に暗記を続けることです。期間が長ければ長いほど暗記ができるわけで、高校1年生からしっかり暗記を続けていた人と、3年生から真剣に暗記を始めた人とでは、追いつけない差が生まれています。高校受験に合格し、遊びたい気持ちもわかりますが、「単語の暗記だけは真剣にしておけ。」と私は学生に忠告しています。高校1・2年でとにかくたくさん暗記をし、3年からはとにかくたくさん英文を読む、というのが高校生におすすめの学習です。はっきり言って高校生の英語学習は、新鮮さがなく地味で地道ですが、その分努力すれば、必ず結果に繋がります。

大切なのは英語学習の順序

最終的には、英語を習得するために必要な学習は、どの年代であっても同じかもしれません。ただし学習する順序によっては、酷く遠回りになってしまうことがあり、時間が限られている学生にとっては、それが致命的な問題になってしまう可能性もあります。これは公教育が正しい学習順序へ導いていくべきなのですが、現時点ではやや問題があるように感じてしまいます。やはりどの言語でも「単語→文→会話」という学習順序が基本であり、単語を知らず、文を作れないままで会話の学習をしても、"How are you?" “I’m fine." というような、定型文の会話しかできない結果となります。日本人が英語を学んでいる目的は、英語を扱える国際的な人間になるためのはずです。そのためには、英語を理解できて、英語で表現できるように、学習をするべきなのです。