勉強しても成績が伸びない原因
勉強しても成績が伸びない原因
「勉強したら必ず成績が伸びる。」というのは真実ではありません。実際に塾で指導していて、勉強しているのに成績が伸びない子がいるのです。その原因はいくつか考えられますが、改善できるものと、なかなか難しいものがあります。親や教師は、成績が上がらないことに対して、頭ごなしに叱ったり、強く指導してはいけません。その原因を考えて対応することが大切です。
原因①:実際はあまり勉強していない
一つ目は、実際あまり勉強していないのに、勉強していると勘違いしている場合です。子どもが勉強していると言い張っても、その量は人によって全然違います。学校の宿題を勉強と捉えている子もおり、「毎週3時間くらい勉強している。」というのが全て宿題だったということも珍しくありません。確かに宿題は勉強の一部ですが、それが十分な勉強量かと言うと疑問が残ります。また、小学校や中学1年生は成績が良かったのに、だんだん下がってきたという子がよくいますが、これは勉強量が足りていないことが多いのです。学年が進むにつれ徐々に学習内容は難しくなり、特に英語や数学は、既習内容を理解した上で新しい学習を積み重ねていくので、既習内容に穴があると徐々に成績は落ちていきます。どこかでその穴を埋める作業、すなわち復習をして、今の学習とリンクさせる必要があります。もちろん、習った時点で理解していた内容でも忘れてしまうこともあるので、そこを補うような勉強も必要になります。小学生の勉強量で中学生の勉強には付いて行けないし、中学生の勉強量では高校生の勉強についていけないのです。
原因②:意味のない勉強をしている
二つ目は「意味のない勉強をしている」ことが原因で成績が上がらない場合です。学校の授業を受けている、塾に通っている、問題集を解いている、というような勉強全てに共通して言えることですが、結局、勉強が自分の学力向上に繋がっていなければ意味がないのです。例えば、学校の授業を受けた後、授業内容を自分の言葉で説明できない、塾でわからない所があるのに質問していない、問題集で間違い直しや見直しをしていない、など、こういった「自分の中に何も残らない勉強」を続けても、学力は有りません。特に、勉強をやらされている意識の強い人は、勉強が自分の身になっていない場合がよくあります。自ら成績を伸ばそうという目的と、自ら学ぼうとする意志を持つことが大切です。
原因③:勉強を拒絶している
三つ目は「勉強の拒絶」が原因です。これは表に出す場合と出さない場合があります。表に出す場合だと、勉強が嫌だ、勉強なんて必要ない、学校に行かなくてもいい、自分の好きなことをしたい、というようなことを普段から言っている人です。こういった人は、勉強は”やらされている嫌な事”に過ぎず、自分の成績を上げようなどと微塵も考えていません。結果、原因①と同じですが、意味のない勉強しかできていないことになります。そこまで酷くなくても、「難しい問題はしたくない。」「自分の解ける問題だけやりたい」といった人もいます。もちろんこれでは、成績が上がるはずがありません。また、勉強への拒絶心を表に出さない子もいます。こちらがいくら熱血に指導しても反応が薄く、関心を示さず、勉強に対してエネルギーを使う様子がないような、無気力ともいえるような生徒を指導したことがあります。勉強以外のことも含めて色々話をしましたが、暖簾に腕押し状態で結局変わらず、数カ月で退塾してしまいました。こういった子どもは、彼ら自身の気持ちが変わる他ないですが、どうしようもない場合もあります。
原因④:学習障害
学習障害とは、知的発達の遅れがないものの、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算・推論する」能力のうち、1つ以上の習得や活用に困難を示す発達障害のことです。就学前はあまり気づかれませんが、小学生になって国語や算数を学び始めたタイミングで周囲に気づかれるケースがよくあります。何らかの学習障害を持つ子どもは5~15%程度と言われており、学校のクラスに2、3人程いる計算になります。塾に来ている子でも、何回やっても英単語がおぼえられなかったり、1桁の計算を何度も間違えたりする子がいました。何度も同じような問題で間違えてしまう子も、軽度の学習障害があるかもしれません。こういった子は、何度できなくても叱ったり、強く指導してはいけません。本人が頑張ってもできないことなので、そういった問題を理解してあげて、ゆっくり進んでいくしかないでしょう。また、塾では学習障害というレベルでなくても、それが疑われるような生徒は結構見かけます。こういった子も同様に、一歩ずつ進んでもらうしかありません。