【中3理科】イオンは基礎から覚える

中3理科のイオンは基礎から覚える

中学3年生の理科で学習するイオンの単元で、苦戦する中学生がたくさんいます。こういう学生の多くが、内容を理解せずに語句だけを覚えようとして、それぞれの知識が結びついていないように感じます。イオンの単元に限ったことではないですが、単純に語句だけをおぼえるのではなく、基礎から理解を積み重ねていくことが大切です。

イオンとは何か

イオンを勉強しているという中学生には、「イオンって何か説明して。」と必ずはじめに質問します。理科で平均点を取れない子のほとんどがこの質問に答えられません。イオンという単元について学習しているのに、イオンが何かわかっていなければ、この単元の学習はどれも正しく理解できないでしょう。電池、酸とアルカリなど、中学3年生の化学は全てイオンに関連しているので、基礎が理解できていないと、中3の化学が全てわからなくなってしまいます。イオンが苦手な人は、まずはイオンが何かということを、説明できるくらいになりましょう。

イオンの基礎

イオンとは「原子が電気を帯びたもの」であり、プラスの電気を帯びたものを陽イオン、マイナスの電気を帯びたものを陰イオンと呼びます。原子が電気を帯びるのはなぜでしょうか。右図は原子のモデルを表したものですが、原子には、プラスの電気をもつ陽子と、マイナスの電気を持つ電子が含まれています。原子は通常、陽子と電子の数が等しいので、電気的に中性(電気を帯びていない状態)になっています。しかし、電子は移動することができるので、何らかの理由で電子を失ったり、電子を受け取ったりすることで、原子は電気を帯びるようになり、陽イオンや陰イオンとなるのです。そして、イオンを化学式で表すとき、右上の+や-で電子の過不足が判断できるようになっています。

右の図が陽イオンと陰イオンを化学式で表した例です。原子によって、どのようなイオンになるかは決まっており、ナトリウムイオンやマグネシウムイオンは+の電気を帯びた陽イオン、塩化物イオンや硫化物イオンは-の電気を帯びた陰イオンとなります。

また、ナトリウムイオンのように電子を1つ失ってできるイオンを1価の陽イオンと言い、マグネシウムのように電子を2つ失っできるものを2価の陽イオンと言います。これらは電子が少なくなったために、プラスの電気を帯びているのです。反対に、塩化物イオンのように電子を1つ受け取ってできたイオンを1価の陰イオンと言い、電子を2つ受け取ってできたイオンを、2価の陰イオンと言います。こちらは電子が多くなったために、マイナスの電気を帯びます。つまり電子が多いか少ないかが、イオンの鍵となるのです。

電解質と電離

水に溶けると電流が流れる物質を電解質と言います。電流の正体は電子です。イオンとなる原因も電子でした。つまり、ここでイオンと電流が関係してくるのです。電解質は水に溶けると陽イオンと陰イオンに分かれますが、これを電離と言います。この電離によって生まれたイオンが原因で、水溶液に電流が流れるようになるのです。例えば電解質の塩化ナトリウムは、水中でナトリウムイオン(1価の陽イオン)と塩化物イオン(1価の陰イオン)に電離します。電離の化学式を書く問題はテストではよく出題されるので、書けるようにしておきましょう。

イオンの化学式

中学で出てくるイオンの化学式は、右の表にあるもの覚えておけば良いでしょう。2年生で覚えた化学式に+や-を書いただけなので、暗記はそれほど大変ではないはずです。もし2年生で学習した化学式を覚えていない、忘れてしまったのであれば、この際、全部一緒に暗記してしまいましょう。どちらも頭に入っていると、電離についてもより理解できるはずです。例えば硫酸の電離式を見てみましょう。

H2SO4 → 2H+ + SO42-

水素イオンは1価の陽イオンで、硫酸イオンは2価の陰イオンです。つまり、電離した際に H+ ではなく、2H+ とすることで電子の数を合わせているのです。硫酸がH2SO4という化学式なのも、イオンがわかれば納得できるのではないでしょうか。

まとめ

中学生で学習するイオン単元の内容は、高校化学に片足を入れたような内容になっているため、細かい内容を考えていくと、中学生で学習しない知識が必要になります。そこまで深堀する必要はありませんが、土台部分となるイオンの基礎はしっかりと理解しておくべきです。英語や数学もそうですが、高校での学習は中学の学習を理解した上で進めていきます。高校化学も同様で、中学だけでなく、高校以降の学習に繋げる意味でも、基礎をしっかり理解しておくべきでしょう。