【中3社会】公民は難しい?おぼえにくい?
公民は難しい?おぼえにくい?
先日、中学生の定期テストが終わったのですが、気になったのが、社会の点数が下がっている中学3年生が多かったことです。中には毎回80点くらいとっているのに、今回は50点台という生徒もいました。点数が下がった理由を聞くと、勉強量は変わっていないと思うけど、公民が難しかったという声が多かったのです。とはいっても、社会という科目は暗記すれば点数は取れるはずです。何がそれほど難しいのでしょうか。

意味の理解が難しい用語が多い
歴史で点数が取れて、公民で点数が取れない生徒に、その理由を聞いてみると、歴史の方が覚えやすいということでした。これは確かにそうです。歴史の重要語句といえば、人の名前や歴史上の出来事が多いですが、人なら何をした人か、出来事ならどういう内容であるかを紐ずければ、おぼえやすく、問題で出されても答えやすいのです。おまけに、歴史というストーリー背景もあることが、わかりやすさを増長しています。一方で公民は、法律や制度の用語をおぼえることが多いのですが、言葉だけでは理解し難いことがあります。例えば、立憲主義という語句がありますが、これは「憲法に基づいて政府を作り、政治を行うことで権力の濫用を防ごうとする考え方」なのですが、人によっては、これを容易に理解できないことがあります。
関連する言葉の意味を知る必要がある
例えば”権力分立”は、「権力を分割し互いに抑制と均衡をはかる」ということですが、そもそも抑制や均衡といった言葉を知らない子がいます。そうなると、まずその言葉から理解する必要があるのです。また、公民用語や日常では使わない言葉が混ざった説明文に拒否反応を示す人もいます。教科書の一文を見てみましょう。「日本は1985年に女子差別撤廃条約を批准して以来、男女雇用機会均等法の制定など、女性差別をなくす取り組みをしてきました。」こういった漢字の羅列を見ると、確かにしんどいと思う気持ちもわかります。しかし、わからない言葉をひとつひとつ理解して、説明文全体を読めるようになる必要があるのです。
公民の教科書には、普段使わない言葉が多く含まれていますが、そういった言葉は自分の理解しやすい言葉に置き換えてみましょう。例えば上記の「日本は1985年に女子差別撤廃条約を批准して以来、男女雇用機会均等法の制定など、女性差別をなくす取り組みをしてきました。」という文ならば、「日本は1985年に、女子を差別しない約束に賛成してから、男女平等に仕事ができるような決まりを作ったりしてきた。」と言う感じでイメージできれば、少しは読みやすくなるでしょう。
公民はおもしろくない?
もう一つ、公民が苦手な子が言っていたのが、歴史は面白さがあるけど、公民にはそれがないと言っていました。確かにそれは理解できます。簡単に言えば、歴史は過去の物語で、公民は社会のルールです。ルールや規則を読むこと自体、大人でも苦痛に感じることがあります。例えば何か契約するとき、事前に同意事項を全部読んでから契約にサインしてください、というものがよくありますが、同意事項を読んでいても何もおもしろくないですよね、面倒だからとざっくり読んで同意してしまう人も多いはずです。公民は一応、国に関係する内容なので、興味がある人にとっては面白いはずですが、社会に出ていない、選挙権もない子どもたちにとって、興味が湧かないのも無理はありません。
ニュースや新聞、日常会話から公民へ
公民は、普段からニュースや新聞などで取り上げられている内容も含まれています。そのため、ニュースを見たり新聞を読んだりすることで、公民の理解は大きく高まることでしょう。新聞は敷居が高いかもしれませんが、ニュースであれば見やすいはずです。子どもから興味を持つことはあまりないので、保護者の方からそういった働きかけをすることがいいかもしれません。例えばニュースを見ながら夕食をとったり、日常会話で政治の話をしたり、公民に関しては、大人がある程度知識を持っているので、それを伝えてあげると良いでしょう。