【2025年度】大阪府の高校志望倍率と進学状況
【2025年度】大阪府の高校志望倍率と進学状況
2025年1月27日、大阪府教育委員会が2025年度の大阪府公立高等学校入学者選抜の進路希望調査の結果を公表しましたが、昨年に続いて、志願倍率が全体的に低くなっています。2024年度の全日制高校の平均志願倍率は1.05倍で、2023年度は1.13倍でしたが、今年度は公立の入試で定員割れをした高校が70校にのぼるということです。これは、大阪府の私立高校授業料無償化が影響していると考えられます。

過疎化が進む公立高校
右の表は、当塾近隣エリア(旧第2学区)の進路希望調査の結果です。倍率が1を切っている学校が非常に多いことがわかります。1月16日時点の志望調査なので、もちろん数値に誤差はあると思いますが、過疎と言える高校がいくつもあります。特に目を引くのが低偏差値帯の公立高校で、偏差値40未満の、野崎高校(0.51)、門真西高校(0.67)、西寝屋川高校(0.52)などは、募集人数の半分強しか志望生徒がいないことになります。野崎高校は、2023年度より、生徒数の少なかった茨田高校を統合したばかりですが、それでもこの倍率の低さです。今後、募集人数を減らしたり、さらなる学校の統廃合が行われるかもしれません。
低偏差値の私立高校人気
この背景には、低偏差値帯の生徒も私立高校を選ぶ人が増えているのです。これまでは、「勉強しないなら、高い授業料を払ってまで私立高校に行く必要がない。」という風潮でしたが、授業料無償化によって、その流れが変わりつつあります。専願受験を活用して、高い確率で高校進学を決めたいという人が増えているのです。またある学校では、SNSを活用したり、楽しい学校生活を送れるようなアピールをして、女子生徒から人気を集めているところもあります。確かに学校は勉強だけの場所ではないので、充実した高校生活を求める生徒にとって、そういった学校は魅力的に映るのでしょう。それも悪くないとは思いますが、高校受験の競争が緩くなり、受験自体の意義が薄れていくことが懸念されるところです。
学校名 | 募集人数 | 志望人数 | 倍率 |
---|---|---|---|
旭 | 320 | 447 | 1.40 |
桜宮 | 120 | 113 | 0.94 |
東 | 320 | 465 | 1.45 |
汎愛 | 160 | 150 | 0.94 |
港 | 280 | 342 | 1.22 |
寝屋川 | 360 | 299 | 0.83 |
西寝屋川 | 240 | 125 | 0.52 |
北かわち皐が丘 | 240 | 217 | 0.90 |
枚方 | 320 | 406 | 1.27 |
長尾 | 240 | 145 | 0.60 |
牧野 | 280 | 331 | 1.18 |
香里丘 | 280 | 224 | 0.80 |
枚方津田 | 240 | 185 | 0.77 |
いちりつ | 280 | 208 | 0.74 |
守口東 | 240 | 186 | 0.78 |
門真西 | 200 | 134 | 0.67 |
野崎 | 200 | 102 | 0.51 |
緑風冠 | 240 | 279 | 1.16 |
交野 | 240 | 175 | 0.73 |
【追記】3/6に発表された倍率とは異なります
偏差値上位の公立高校で明暗
この地区(旧第2学区)では、文理学科を除くと寝屋川高校が偏差値最上位の高校となっています。文理学科との偏差値差も大きくなく、昔から人気の公立高校だったのですが、今年は定員割れしてしまいました。それもぎりぎりではなく、かなりはっきりとした数値で表れています。一方で、この地区2番手の偏差値である東高校は、昨年より倍率が上がっています。確かに東高校は、これまでも寝屋川高校より高い倍率を保っていましたが、ここまで差が開くとは驚きです。東高校は普通科、理数科、英語科という3つのコースがあるのが特徴です。また、最寄り駅が京橋で、交通の便に優れているという点も人気の要因かもしれません。しかし、寝屋川高校も創立115年にもなる、歴史ある高校です。進学実績も素晴らしく、文理学科に次ぐ公立校として、多くの生徒に目指して欲しいと思います。
文理学科と高偏差値の私立高校
文理学科の志望倍率は、北野高校(1.54)、大手前高校(1.20)、高津高校(1.43)、天王寺高校(1.24)、豊中高校(1.46)、茨木高校(1.90)、四條畷高校(1.59)、生野高校(1.10)、三国ヶ丘高校(1.56)、岸和田高校(1.10)でした。今年度は生野高校や岸和田高校が低いですが、昨年はもう少し高く、反対に四條畷高校は昨年は1.19倍と低い倍率でした。年によって多少変動はしていますが、ここ10年で同じような倍率を保っています。大阪公立高校最上位の文理学科の価値は保たれていると言えます。これは、大阪最上位の私立高校があまり多くないことも関係しているかもしれません。
私立高校の志望倍率
大阪私立中学校高等学校連合会が2月5日に発表した、2026年度の府内私立高入試の出願状況によると、私立高を第1志望とする専願率は35.04%で、記録が残る2003年度以降で最高になったということです。出願者平均倍率は前年度比0.10ポイント減の2.55倍、最も高い倍率が、近畿大付属のSuper文理コースで15.78倍だったということです。ここは約66の偏差値で、国公立大学を目指す同校で最も偏差値の高いコースです。これまでは文理学科の併願校として選ぶ人が多かったと思いますが、近年はそれに加えて、専願で入学して国公立大学を目指そうという人が増えたと推測されます。