【高校受験】学力より高い志望校について
中学3年生は11月になると、第3回実力テスト、定期テスト、3者懇談と、いよいよ受験校を決めていくことになります。志望校は、基本的に生徒の行きたい学校になるわけですが、自分の学力より高い志望校を選ぶ生徒は例年います。成績だけを見て、第一志望は無理、ダメ、志望校を変えなさいと、直球で言うのは良くありません。受験生は敏感になっている子もいます。彼らの気持ちを傷つけないように、気を付けて接するべきだと思います。

まずは子どもの話をよく聞くこと
自分の学力より高い志望校を選ぶ子に対しては、まず子どもの話をよく聞くことが大切です。特に、その学校に行きたい理由を聞き、学力が合わないことについてどう考えているのかも確認したいところです。教師や保護者として言いたいことがあっても、あまり口を挟まず、まずは子どもの考えを聞き出しましょう。口を挟んでしまうと、子どもは否定されるから言いたくない、と会話を拒否してしまう可能性があります。色々な質問をして、子どもの考えを引き出すと、子ども自身も、自分の考えが整理されてきます。そうすると、今まで固定化されていた考えが、変わる可能性もあるのです。
学校に行きたい理由を聞く
自分の学力より高い志望校に、なぜ行きたいのかはしっかり聞きましょう。一番多い答えが「説明会やオープンスクールに行って良いと思った。」かもしれません。漠然とした理由を言うことも多いですが、色々と気に入った部分があっても、うまく言い表せない子も多いので、具体的な理由がないからと言って無下にすることは良くありません。具体的に気に入った部分も聞いてみましょう。子どもが言えないようであれば、授業?行事?校舎?部活?というように、こちらから色々投げかけてみましょう。そうすると、具体的に言ってくれることもあります。そうして気に入った部分を聞けたら、そこから他の学校のことも紹介してみます。〇〇高校も校舎がきれいだよ、〇〇高校は文化祭がすごいよ、という感じです。他の学校のことを知らずに、1つの志望校にこだわっている子もいるので、もっと広い世界を見せてあげるので。ただし、無理に誘導するような言い方は、逆効果になる場合があるので注意する必要があります。
学力が合わないことについて確認する
自分の学力より高い志望校を選んでいることは、ある程度子ども自信も理解していると思います。しかし、できれば模試や学校の成績から、どれくらい離れているのかをしっかり認識させるべきでしょう。頑張って勉強すれば合格できる、なんてレベルではないほど成績が乖離している場合もあります。「頑張ればいけるでしょ。」と軽く考えている子もいるので、現実をしっかり確認することが大切です。できれば1回のテスト結果だけでなく、複数の結果を元に話すことが望ましいです。現実逃避をしているい子も多いので、彼らの心理状態を尊重しつつ、最終的には現実を受け入れさせる必要があります。1回の話し合いで済まそうとせず、子どもに考える時間も与えながら話し合うのが良いでしょう。
思春期・反抗期の問題
中学3年生は、思春期・反抗期の真っ只中にある子も多いでしょう。そうしたときに進路の話をして、親子で喧嘩してしまうという話もよく聞きます。こういった時期に、親から自分の進路を否定されると、反抗心から聞き入れることができないかもしれません。こういったときは、学校や塾の先生に協力してもらい、子どもに話てもらうのが良いでしょう。特に塾は、こういった時のために通っているので、色々相談してみましょう。親以外の大人から話をされると、子どもは冷静に考えられるはずです。
志望校を変える意思がない場合
こういった話し合いを繰り返しても、志望校を変えようとしない子は少なくありません。こうなると、止めることはできません。そういう子には、「自分の意思を貫いて挑戦するのはいいけど、受験できない時のための志望校も必ず考えるように。」と伝えます。”受験できない時”というのは、年末の学校の懇談で、中学校から受験をさせないと言われた時のことです。そうなってから急いで学校を探して、満足に学校選びができなければ後悔が残るかもしれません。そうならないように、予め準備をさせておくのです。あとは本人次第です。
子どもの意思を尊重してサポートする
もしかすると、成績が一気に上がる可能性もありますが、10月、11月頃から、一気に成績が伸びることは、殆どありません。だからと言って、絶対に第一志望を変えろということは、私はしたくありません。高校入試は、子どもにとって人生ではじめての大きなイベントです。自分自身の進路ですから、自らよく考え、努力して、決めることに意味があると思います。大人は子どもの意思を確認し、色々な道を提示し、失敗したときに備える、というようなサポートをすることが大切なのではないでしょうか。