【小学生の算数】割合の考え方
割合の考え方
小学生の算数で、難しいと言われている単元の一つが「割合」です。中にはパーセントや、割引といった言葉に慣れていて、そういう言葉を出すとすんなり受け入れる子もいますが、実際は多くの子が理解に苦しんでいます。そして教える側としても悩ましい部分があります。もっと本質を理解して欲しいけど、そこまで踏み込むと混乱を招くかもしれない…比べられる量ともとにする量という用語がなぁ…と苦悩している先生がいらっしゃることでしょう。今回はそんな割合という単元についての考え方を、ひとつを紹介します。

割合の基本
そもそも割合とは「2つの量の違いを表した数」です。2つの量のうち、基準とする方を「もとにする量」、もう一方を「比べられる量」(もしくは比べる量)と言い、もとにする量に対して比べられる量の割合を考えることになります。そして割合を求めるために、「比べられる量÷もとにする量=割合」という公式をおぼえさせられるわけですが、意味も分からず計算している子を数多く見てきました。教科書でもこれを用いて問題を解くよう示唆されていますが、結局、もとにする量も比べられる量もわかっていなければ意味がありません。とりあえず、もとにする量や比べられる量を理解する前に、「2つの数の違いを表している数が割合」というところをしっかり押さえましょう。
倍数の理解から割合の理解へ
個人的には、倍数の理解から割合の理解へと繋げる学習をさせるべきだと思います。倍数はそのまま割合として考えることができるため、割合の理解が容易になります。まずは次のような質問で、式と答えをすぐに言えるようにする必要があります。
「10円の2倍は?」 「10×2=20円」
「10円の3倍は?」 「10×3=30円」
「じゃあ5倍は?」 「10×5=50円」
上記のように、倍数はかけ算で表すことができるので、倍数が含まれた文をかけ算の式で表せるようにしましょう。これができれば、割合の基本問題は解けます。実は割合の基本問題は、式の一か所が穴抜けになっているだけです。例えば、次のような□を求める問題がよく出されます。
①8の□倍は40です。
②40は8の□倍です。
これらを見て「8×□=40」という式を組み立てられれば、あとは□の数を求めるだけです。①も②も、8の□倍を8×□と変換することがポイントです。
割合はかけ算で考える
「8×□=40」という式の□を割合と考えてください。はじめに言った通り、割合とは「2つの量の違いを表した数」です。ここで、8に割合をかけたら40になるので、8がもとにする量、40が比べられる量(もう一方の数)ということになります。

つまり割合とは、かけ算のかける数にあたるのです。「8×□=40」の□を求めるためには割り算をするため、「比べられる量÷もとにする量=割合」を使うのですが、その前に「もとにする量×割合=比べられる量」という式をしっかり理解するべきです。割合を含んだかけ算がしっかり理解できると、割合を含んだ割り算も深く理解できます。そうすることで、どのような問題文でも答えに導くことができるのです。
百分率と歩合
割合がしっかり理解できれば、百分率と歩合は苦労しないはずです。基準である1という割合が、百分率では100%であり、歩合では10割と理解できれば問題ないでしょう。これらは日常で見かける表現なので、そういった例を持ち出すと、子どもの理解も早いかもしれません。丸暗記でもいいのですが、日常経験と結びつけることができると、一気に理解が深まることがあります。一番良い例が、「定価の70%」とか「2割引き」などというお金の計算で、算数の問題にもそのまま採用されています。