【中学理科】電気分野(電流・電圧・抵抗)
中学理科の電気分野
当塾の中学生はテスト1週間前に突入しました。中学2年生の理科は電気分野で、苦手に感じている生徒もいるようです。特に、オームの法則を用いた計算問題で苦労している人が多いのではないでしょうか。また、複雑だと思い込んで、敬遠している人もよくいます。理科のどの範囲にも言えることですが、用語や公式を丸暗記するだけでなく、本質を理解して学習していくようにしましょう。そうすれば、それほど複雑でないことがわかってきます。まずは電流・電圧・抵抗が何かを見ていきましょう。
電流・電圧・抵抗
電気は日常的に目に見えるものではないので、わかりにくい部分がありますが、ひとつひとつ丁寧に考えていきましょう。電圧は、電気の圧と書かれている通り、電気を押しだす力と考えてください。単位はV(ボルト)で、日本のコンセントは100Vの電圧に調整されています。コンセントに電子機器を接続すると、100Vの電圧が機器にかかり、機器に電気が流れます。この電気の流れが電流で、電流によって機器が作動します。電流の単位はA(アンペア)で、例えば大型の家電で10A、小型の電子機器では1A、というように電流が流れます。しかし、なぜ同じ電圧100Vのコンセントで、流れる電流が違うのでしょうか。その理由が電気抵抗です。電気抵抗の単位はΩ(オーム)で、電気の通しにくさです。電気抵抗が大きくなればなるほど、電流が流れにくくなります。では、100Vで10A流れる家電と、100Vで1A流れる機器では、どちらが電気抵抗が大きいかわかりますか。そうです、100V・1Aの機器のほうが電気を通しにくいので、電気抵抗が大きいということです。
オームの法則
電流・電圧・抵抗がどういうものか理解できたでしょうか。中学生の電気分野ではオームの法則が有名ですが、それだけ丸暗記するのはよくありません。公式以前に、電圧が大きくなると電流も大きくなり、電気抵抗が大きくなると電流は小さくなる、といった関係をしっかり理解することが大切です。そして、実際にその大きさを計算で導くために、オームの法則を使うのです。オームの法則はV(電圧)R(電気抵抗)I(電流)といった文字で表しますが、日本語でおぼえて問題ありません。
①電圧(V)=電流(A)×抵抗(Ω)
②電流(A)=電圧(V)÷抵抗(Ω)
③抵抗(Ω)=電圧(V)÷電流(A)
数学が得意な人なら、①から②や③が導けるのがわかると思います。電流・電圧・抵抗を理解した上で、計算必要であればオームの法則を使えるようにしましょう。
直列回路と並列回路
オームの法則で計算ができるようになっても、それだけでは問題は解けません。もうひとつ大切なことが、直列回路と並列回路の電流・電圧・抵抗について知っておくことです。直列回路では「電源電流=各抵抗の電流」ですが、並列回路は「電源電流=各抵抗の電流の合計」になります。また電圧は反対に、直列回路では「電源電圧=各抵抗の電圧の合計」ですが、並列回路は「電源電圧=各抵抗の電圧」になります。よく出る例えとして、電流は水の流れの様に、道(回路)が分かれれば水の量(電流)も分かれるという考え方があります。おぼえかたは自由ですが、回路の形によって電流・電圧・抵抗の考え方も変わるので、しっかり頭に入れておく必要があります。
電力と電力量
漢字というものは言葉の理解に便利で、理科の用語でも漢字から意味を推測できます。電力もそのままで、電気の力、電気のエネルギーです。電力が大きいと、それだけ大きな物を動かすことができるわけです。電力の単位はW(ワット)です。電圧や電流が大きくなればなるほど、電力も大きくなるので、電力=電圧×電流ということは納得できるのではないでしょうか。そして電力量ですが、電力を一定の時間使った量を表すので、電力と時間をかければ求められます。ただし、電力量で用いる単位はJ(ジュール)かWh(ワット時)と、2種類あることに注意しましょう。
④電力(W)=電圧(V)×電流(A)
⑤電力量(J)=電力(W)×時間(秒)
電力量(Wh)=電力(W)×時間(時間)
電気は日常にあふれている
理科はどの分野も、我々の生活に関係する内容について学びます。とりわけ電気は、現代の日常においては欠かせません。家電、電子機器などは全て電気で動いているので、消費電力が何ワットかが表記されています。また、静電気を感じたことがあったり、ゴムは電気を通さないというような知識を既に知っているかもしれません。そういった事柄を、理科と関連して考えると、以外とすんなり理解できることもあります。ただオームの法則を使った計算をする、という考えではなく、学習内容や自分の持っている知識、経験を結び付けて自分の中で納得していきましょう。