大阪府の公立高校入試の仕組み

大阪府の公立高校入試の仕組

先日、大阪では私立高校入試が終わり、次は公立高校入試がやってきます。来年度以降に受験される方の参考になるよう、改めて大阪府の公立高校入試の仕組みを説明いたします。公立高校の合否は、学力検査(入学試験)と学校の評定(内申点)で決められます。中学1年生のはじめの定期テストから、入試の合否に関わってくることを認識して、中学生をスタートして欲しいと思います。

公立高校入試の学力調査書(学校の内申点)

いわゆる学校の成績ですが、各学年の3学期の最後につけられる評定が評価されます。3学期の評定はその学年での1年間の評価であるため、全ての定期テストとチャレンジテストを考慮して決定されます。そのため、1年を通して勉強に励む必要があります。評定は5段階評価×9教科で合計45点ですが、これが1年生は2倍、2年生も2倍、3年生は6倍されます。つまり1年生の評定は90点、2年生の評定も90点、3年生の評定は270点で、合計450点が満点となります。これに学力検査(3月の入学試験)の合計450点を合わせて、900点満点となります。その中で、高得点者から合格になるという仕組みです。学校の成績に関しては、1年生の成績から入試の合否に関わるという点、副教科も5教科と同じ価値があるという点を、しっかり認識しておく必要があります。

評定と学力検査の倍率

学力検査450点+学校の評定450点で評価されますが、学校によって、さらにこの2つの点数が、特定の倍率によって変化します。学力検査:学校の評定の比が、①7:3、②6:4、③5:5、④4:6、⑤3:7の5種類に分けられています。例えば①7:3の学校は、学力検査630点+学校の評定270点で評価されるので、学力検査が学校の成績より重視されるということです。この倍率ですが、偏差値の高い高校ほど①のような学力検査重視、偏差値の低い高校ほど⑤のような学校の評定重視となります。大阪東エリアの高校は以下の通りです。(表の倍率はいずれも「学力検査:学校評定」で表示しています。)

倍率高校名
①7:3大手前、四条畷、寝屋川、枚方、牧野、香里丘、いちりつ、東・・・など
②6:4芦間、交野、緑風冠、摂津、大冠、吹田、咲くやこの花・・・など
③5:5守口東、西寝屋川、枚方津田、茨田、桜ノ宮、汎愛、淀川工科、門真なみはや・・・など
④4:6門真西、鶴見商業、枚方樟風・・・など
⑤3:7現在はない

「3年間の点数」と「1回の点数」

学校の評定は、3年間の勉強を点数で表したものです。一方で学力検査は1回だけのテストの点数です。学校によって倍率の違いがあるものの、公立高校受験では双方が重要になります。1回のテストで少しくらい失敗しても、学校での勉強を頑張っていれば、補えることも十分あります。例えばオール4の評定であれば360点、オール3の評定は270点となり、この差は90点です。この90点の差を学力検査のテストで考えると、1教科あたり18点の差となります。英語、数学、国語、理科、社会の全てで皆より18点多く取る、というのはかなり厳しいですね。もちろん実際は、同じ学校に受験している生徒なので、それほど評定に大きな差があるとは考えにくいですが、少しの差が合否を分けるかもしれません。学力検査で苦手な問題ばかり出題されたり、ミスすることもあるかもしれません。1問の不正解が3点分の評定で補えると考えれば、やはり少しでも学校の成績が欲しいところです。

学力検査における英語資格の活用

英語の学力検査において、外部機関が認証した英語力判定テストの結果を活用することができます。TOEFL iBTは、アカデミックな場面で必要とされる、英語運用能力を測定する試験で、IELTSは、留学、就労または移住を希望する人々の英語力を測定する試験とされています。どちらもリーディング、スピーキング、リスニング、ライティングを含む、3時間ほどの試験です。またこの2つの試験では、身分確認のためにパスポートが必要で、英検よりも受験の敷居が高く感じられます。それに比べると英検は受験しやすく、日本でメジャーなため対策もしやすいと言えるでしょう。TOEFL iBTやIELTSは高校受験でも有効ですが、大学受験、もしくはそれ以降に受けるほうが賢明かもしれません。ただ、英検と言っても、中学生が英検2級に合格することは結構難しいので、基本的に、文理学科を受験する場合のみ検討するべきでしょう。(中学生の英検2級取得について

TOEFL iBTIELTS英検読み替え率
60点~120点6.0~9.0準1級以上100%
50点~59点5.5(対応なし)90%
40点~49点5.02級80%

3年生の勉強がカギを握る

3年生の勉強は特に重要と言えます。既に述べた通り、1・2年の評定がそれぞれ2倍されるのに対して、3年生の評定は6倍されるので、成績は単純に3倍の価値があります。そのため、3年生の定期テストは1回目から力を入れましょう。また、空いている時間で1・2年の復習もしなければなりません。忘れているところや理解していないところ、穴のある部分を埋めていく作業をして、全体的な学力を高めるのです。これは、学校が始まると余裕がなくなるため、春休みや夏休みに力を入れましょう。よく夏休みからスイッチを入れるという生徒が多いですが、春休みから始めてください。普段から勉強をしているという自覚のある人はいいですが、そうでない人は、たくさんの穴が空いているはずなので、復習のための時間が結構必要になります。また、できれば夏頃から入試レベルの問題に触れた方が良いので、基礎的な復習は早めに終わらせてしまいましょう。