社会が暗記できない中学生

社会が暗記できない中学生

社会という科目でテストの点数を上げるためには、内容を暗記するしかありません。重要語句だけでも暗記すれば、それを答えるだけである程度点数が取れるはずです。「社会はとにかく暗記しろ。」と私も生徒に言っていますが、学力の低い生徒の中には「わかっているけど、全然おぼえられない。」という子も結構います。もちろんやる気がないだけの子もいますが、本当に暗記ができない子もいます。

国語力がないと覚えられない

学力が低く、暗記ができないと主張する生徒の中には、国語力がないことが1つの原因です。国語力とは語彙力や読解力です。以前、中学3年生の男の子が、公民の内容が全然覚えられないと言ってきました。試しに教科書を読むように指示し、後から教科書の内容について聞いてみると、書いてあることがわからないと言うのです。例えば以下の文章を見てください。

国の政治では、多くの議員は政党に所属して活動しており、政党を中心に運営されている政治を政党政治と言います。選挙で最も多数の議席を得た政党から首相が選ばれ、内閣を組織します。内閣を組織して政権に参加する政党を与党といい、それ以外の政党を野党といいます。

日本文教出版 中学社会 公民的分野

政党政治、与党、野党といった言葉が重要語句として太字で書かれ、生徒もそれを暗記する必要があると理解しています。しかし、書いている文章が内容が読み取れないため、公民の語句をおぼえる以前の段階でつまずいているのです。この文章であれば、所属する、得る、組織する、という言葉を、正しく理解できていない可能性があります。中学生なら当然わかると思うかもしれませんが、こういった言葉も、理解が曖昧な可能性があります。なぜなら日常会話では、「クラブに所属する。お金を得る。委員会を組織する。」なんて中学生は言わないでしょう。「クラブに入る。お金をゲットする。委員会を作る。」など、簡単なことばや口語を使うのが普通の中学生です。つまり、それまで文章を読んでこなかった子どもは、文語的な言葉の理解度が極端に低い場合もあるのです。中学生の語彙力アップ用の市販教材もあるので、そういったもので、語彙力を補強してあげても良いでしょう。

まずは語彙力を鍛える

社会の暗記ができないという人は、国語力を上げるしかありません。特に語彙力です。先ほど例に挙げた「所属する、得る、組織する」ような言葉であっても、頭のなかで鮮明に意味が浮かんでいるかを確認していく必要があります。そして、きちんと意味がわからなければ、文章を何度も読み直したり、調べたり、誰かに聞いたりして、ひとつひとつ意味をはっきり把握していくべきです。大変かもしれませんが、これは国語や社会だけでなく、他の全ての教科に大きく影響する大切な学習なので、文章が読めない人はこつこつやっていきましょう。そうして言葉を調べながら、例えば公民の文章を読んでいくと、何度も繰り返し同じ言葉が出てきます。そうすると、言葉の解像度がより上がって、徐々に文章が理解できてくるはずです。

教科書は読む練習に最適

文章に触れる機会がない子どもにおすすめしたい本が、学校の教科書です。学校の教科書の文章の質はとても高く、もちろん内容も学生にとって有益なものばかりです。最近は一問一答や、重要語句集など、文章がまとめられた教材が豊富ですが、これらは便利ではありますが、文章読解の練習ができないとも言えます。教科書の文章を読み、そこから重要語句とその意味を自分でまとめる勉強は、とても良い読解練習になるはずです。もしくは、教科書を読んだ後、どういうことが書いてあったか自分の言葉でまとめてみるのもいいでしょう。このページにはこういうようなことが書いてあった、と言うことができれば、ある程度、文章は読み取れていることでしょう。文章を読む練習をしたいという人は、ぜひ教科書を使ってみてください。