怠け者の優等生

怠け者の優等生

先日テスト前の勉強で、とある生徒を呼び出しました。彼は現在中学3年生で、1年では5教科で450点を超えるような成績を取っていたような子です。しかし、徐々に成績が落ち、3年生の中間テストではついに400点を切ってしまいました。塾には週1回だけ来ているのですが、全体的に成績が下がっていることについて、何度も注意喚起をしてきました。そして今回、テスト前に塾で勉強するように呼び出したのですが・・・彼は怠け者の優等生でした。

学校の提出物はいつも前日までやっていた

テスト前に呼び出したときに初めて知った事実ですが、テスト前に出される学校のワークや課題を、いつもテスト前日の夜遅くまでやっていたようです。テスト前日は、翌日のテストに向けて最終チェックをする日です。既にに終わらせたワークや課題を、2回目、3回目とやり直したり、学習の抜けや漏れがないかを確認するべき日なのです。前日になって学校に提出する課題をやっているなんて、言語道断です。塾ではとても真面目に勉強し、宿題も必ずやって来て、小テストも必ず合格していたので、問題ないと思っていましたが、これらもおそらく前日ぎりぎりでやっていたのでしょう。

中学では勉強しなくても高得点が取れる

はっきり言って、中学生の勉強内容は難しくありません。もちろん難しい部分もありますが、中学の学習内容を全体的に見ると、学校の授業だけでも、十分テストで良い点が取れると思います。特に、ある程度自頭が良い子は、中学の勉強で行き詰ることもほとんどないと思います。そうすると、「勉強しなくても80点~90点は取れるから。」と楽観的になり、勉強する気がどんどん削がれていくことになります。そうして、怠け者の優等生が誕生するのです。高校生になると、学力の拮抗した生徒が集まるため、怠けていると一気に遅れをとってしまいますが、中学生は生徒間の学力差が大きく、勉強しなくても高い成績を維持しやすいのです。

怠け者は高校生で必ず落ちる

こうした怠け者の優等生は、中学生であれば、そのままでも大きな問題なく進学して終わると思います。しかし、高校生になってから成績が一気に落ちる可能性が高く、それまでの怠け癖が抜けないと、落ちたまま終わることがあります。何を隠そう、それは私のことです。私は提出物をぎりぎりにするとか、テスト前に全く勉強しないとかいうことはありませんでしたが、勉強に対して怠けてしまう傾向にあったと自覚しています。その結果、中学でほとんど90点以上取っていた数学が、高校では50点台をたたき出しました。さすがにショックでした。高校の学習内容は、中学から一気に上がるため、勉強を怠けたままでいると、必ず成績が落ちてしまいます。

塾で強制的に勉強させる

怠け癖のある子が、ひとりでその怠けから脱することは困難です。そのため、周りの環境や、周囲にいる人の言葉によって、変わることを期待するしかありません。勉強を沢山させる塾や私立学校などに入ると、やらざるを得ないので、そういった環境に進ませることが1つの簡単な方法です。学校については進学まで待たないといけないため、すぐに勉強させるためには塾へ行かせるしかないでしょう。しかしほぼ間違いなく、子どもは塾へ行くことを嫌がると思うので、しっかりとその理由や目的を伝え、塾へ行くか自分で勉強するかという感じで相談しましょう。ただし子どもが「自分で勉強する」と言っても、簡単には変われないので、問題集を与えるなどして具体的な取り組みを示す必要があります。ただ、それをするのであれば、結局塾へ行った方が良いので、それも含めて子どもと話し合うべきだと思います。

塾に行っても変わらないことも多い

塾に行ったからといって必ずしも変わるとは限りません。むしろ変わらない可能性の方が高いかもしれません。結局、問題は解けるし、理解力はあるので、勉強に焦ることがないのです。そのため、緩い雰囲気で個別指導を受けることは、刺激がないため、あまりおすすめできません。個別指導であれば事前に子どもの状態を説明し、指導方針をしっかり確認しておきましょう。周りのレベルが高い集団指導の中で揉まれるというのもおすすめです。とにかく何か刺激を与えて、怠ける気持ちを動かせるように働きかけるしかありません。