塾に通っても成績が伸びない理由

塾に通っても成績が伸びない理由

塾に通っているのに成績が伸びない。むしろ下がっているという人は多いと思います。塾を運営している立場としても、どうしても成績が上がらない生徒がいるのは確かです。今回は、実際、塾に通っていたけど成績の伸びなかった生徒を例に挙げて、成績をのばすためにはどうすれば良いのかを考えていきます。転塾を考えている方は、ご参考にしていただければ幸いです。

理由①:生徒に学力を伸ばす気持ちがない

成績は、勉強して学力を高めることによって伸びていくものです。どんな良い塾に通っても、勉強するのは生徒自身なので、生徒に学力を伸ばす気持ちがないと、なかなか成績は伸びません。このケースは、子どもによっていくつかのパターンがあります。最もよくあるパターンが、子どもに「勉強したくない。」という強い意志がある場合です。勉強を拒絶しており、勉強をただの嫌な作業としてこなしているような子です。少しでも勉強を頑張る気持ちがあれば変わってくるのですが、勉強を拒絶する子は、いくら教えてもそれを吸収しようとしないので、はっきり言って塾に来る意味がありません。やる気のない子でも、何かのきっかけでやる気が湧くこともあるので、塾に通うならそういったタイミングが良いと思います。

勉強を拒絶する子はわかりやすいケースですが、反対に、やる気がわかりにくいケースもあります。これは実際にいた子ですが、テストの点数は平均よりやや低め、授業は真面目に受けるし、宿題もしてくるし、まじめに塾に通っている生徒でした。しかし成績は全く伸びず、勉強の理解度も上がっている様子もありませんでした。教えたところを何度も間違い、過去にできていたはずの問題もできなくなったりしていました。何度も丁寧に教え、教え方も工夫して一生懸命指導しましたが、結局変わらず、退塾してしまいました。その生徒については色々と考えましたが、一番気になったのは、その子に「熱がなかった」ことです。感情が表に出ず、淡々と言われたことをやり、ボーっとすることも結構ありました。ただ物静かというだけでなく、気力が感じられない様子で、なんとか気を引こうと勉強以外の話をしても、殆ど反応がありませんでした。こちらの言葉が、その子の中を通り抜けているような感じで、正直お手上げ状態でした。こういった子は稀かもしれませんが、学力をのばす気持ちがないことが、表に出ないケースもあるのです。

理由②:授業に付いて行けない

主に集団授業の塾ですが、授業に付いて行けないと、当然成績は上がりにくいと思います。集団授業だと、ひとりひとりに合わせた授業は行えないので、生徒が付いて行くしかありません。遅れているのがはっきり見えていると、先生によってはフォローしてくれる場合もありますが、なかなか難しい場合が多いと思います。さらに良くないのが、授業に付いて行けないことを、生徒が隠そうとするケースが多いということです。劣等感を感じたくなかったり、少しぐらいわからなくても大丈夫だという楽観的思考から、付いて行けているように振る舞うのです。ただこれに関しては、その環境で生徒が勉強を頑張っている場合もあるので、塾をやめた方が良いは言い切れません。塾を継続するのであれば、わからないことをきちんと解決していく(先生や兄弟に質問するなど)ことを、きちんと行うことが大切です。

当塾は個別指導塾ですが、集団指導の塾から転塾してきた生徒の中には、「テストで平均点取れているのに、こんなこともわからないのか。」と思うことが結構あります。もちろん口には出しませんが、そういった事が1つ見つかると、他にもポロポロと出てきて、しっかり復習をしないといけない場合もあります。実は、塾の授業に付いて行けていないことを本人も周りも気づいておらず、個別で見てもらって初めて、学習の理解度が低いと判明することがあります。受けていた集団指導の授業自体の質が低かったり、どんどん先に進むようなカリキュラムだと、生徒たちも、授業を理解できないまま進むことに慣れてしまうのです。そういう子が個別指導を受けると、わかっていない学習内容が沢山見つかることがあります。ずっと集団指導を受けているけど、いまいち良くならない場合は、体験でも良いので個別指導を受けてみるといいかもしれません。今の塾をやめなくても、体験授業で何か気付くことができれば、今後の勉強を見直すきっかけにもなります。

理由③:自分に必要な勉強ができてない

塾では授業をまじめに受けて、宿題もきちんとしているから、しっかり勉強できている。本当でそうでしょうか。例えば、自分が絶対正解できる問題を何度も解いたところで、勉強にはなるとは言えません。もちろん復習は必要ですが、あまり効果のない復習があるのも事実です。塾での勉強は学校での勉強と被る部分があるため、そういった効果的ではない勉強が含まれている可能性があるのです。成績を伸ばすために必要な勉強とは、自分に足りない部分を補う勉強です。例えば、自分のおぼえていない単語を覚える、自分が間違った問題を解き直す、自分がわからない問題を教えてもらう、といったように、自分に足りないものを補うことで、テストの点数が上がりやすくなるのです。塾から与えられた勉強だけで満足したり、それに追われて自分の勉強ができていないと、自分の成績は上がりにくいのです。これは塾側の教え方や授業に問題がある場合もありますが、勉強する本人が、自分に必要な勉強をする意識を強く持つことが何より大切です。

塾は必ずしも通う必要はありません。学校で授業は受けていますし、勉強はひとりでもできます。質問は学校の先生や友達に聞けばいいですし、問題集は学校のワークを使ったり、市販のものを買えばいいのです。塾は勉強をサポートする所なので、独力で効果的に勉強することが難しい場合に行くべきです。今回は成績を上げることに注目していますが、塾へ行くことは成績を上げることだけが目的ではありません。塾は、勉強のモチベーションを保ってくれることもありますし、家で勉強しない分を補う場所でもあります。勉強に関して、子どもの面倒を任せることができるという、安心感もあるかもしれません。ただ、その塾が子どもにとってプラスになるように、保護者は塾と子どもをしっかり観察して、正しい方向で勉強に取り組ませることが大切です。

目先の結果だけでなく、先のことを考えた通塾を

塾に通う判断をする上で、どうしても成績、特に定期テストの点数に注目しがちです。しかしテストは毎回、範囲も難易度も微妙に変化しているので、点数だけを比較するのはあまり良くありません。また、勉強の質が上がっているけれど、テストの点数に表れないというケースもあります。例えば、今まで決まった形の文章題しか解けなかったのに、少し内容を変えられても解けるようになったとか、なんとなく読んでいた英語の文が、文型を理解した上で自信を持って読めるようになったとか、点数に表れなくても、塾での学習がプラスになっていることもあります。そして、そういった質の高い学習は、本当の学力が試される入試において、最も重要な要素です。定期テストの点数を上げることは、もちろん大きな目標として掲げて然るべきですが、その先にある受験なども見据えて、塾に通わせていただきたいと思います。